秋は摘みたて、搾りたてオリーブオイルの季節! [スペインの食材]
スペイン・トレドより!収穫期を迎えたオリーブ農園を拝見! [スペインの食材]
ひとくちにオリーブといってもその種類は300を数えるとか。これは「コルニカブラ」という品種
Reikoさま
気がついたらもう12月ですね。一年がすぎるのは本当に早いです。少し前に、
マドリードは寒波に襲われ、いよいよ冬だ!と実感しました。マドリードでは
クリスマスのイルミネーションも点灯されていよいよ師走です。
ところでReikoさんは、オリーブオイルを料理やお菓子に使いますか?スペイ
ンではオイルといえばオリーブオイル。揚げ物、炒め物を始めサラダやトース
ト、ケーキや焼き菓子などにもオリーブオイルを使います。日本のサラダ油と
か天婦羅油と同じようにオリーブオイルを使っているのですね。
11月末にオリーブの収穫を2年ぶりに見に行ってきました。11月から12月頃
までが、オリーブの収穫時期なのです。一般には公開していない農場にマド
リード在住の親しい方々をご案内することになりましたので、REIKOさんにも
収穫の様子などお知らせしますね。
赤茶けて乾いた大地にオリーブの樹というのイメージですが、トレドにあるバリでラマの農園はタホ川が流れる緑の
多い農業地帯です。この辺りではトマトやレタルなどの野菜といちじくのような果実も多く栽培されています。樹と樹の間隔は4m.道幅は7mあります。
カスティージャ・ラ・マンチャ州トレドにあるこの農場は、VALDERRAMA
(バルデラマ)社。私は日本向けの販売やアテンドのお手伝いをしています。
毎年の時期は、世界各国から商談も兼ねてバイヤーやシェフが見学に来ます。
農場の広さは223ha, アンダルシア地方のコルドバにも100haの農園を
持っています。
トレドの農園では、アルベキーナ、オヒブランカ、オカール、コルニカブラの
4種類のオリーブを栽培しています。どのオリーブも味、香りに違いがあり
ますが、私たちが収穫を見たのは「コルニカブラ」。形はちょっとずんぐりし
ていてマンゴーのような形で、甘さと苦味、辛味を持つ個性的な味わいです。
そしてビロードのような舌触りが特徴でもあります。
オリーブオイルは簡単に説明すると、収穫→搾油→濾過の3工程で作られま
す。この工程で一番大事なのが、採油までをいかに早く低温で行えるか、また、
その後いかに酸化を防ぎ酸度を低く保つかが高品質の要素だそうです。
一般的には24時間以内に23℃程度の温度(すり潰したり、絞るなどの作業で
はどうしてもオリーブの温度が上がってしまいます)が一般的だそうですが、
バルデラマ社では、1時間以内に「18℃」の低温で行われます。この時間は
本当に驚異的です。またオイルを絞る過程では、遠心分離機を使ってオイルと
水分を分けています。オイルはタンクに入れられますが、このタンクは濾過する
ためのタンクで毎日オリーブオイルを隣のタンクに移す事によって沈殿した
不純物を自然に取り除くのです。こうして製品となったオイルは、品質を保つた
めのタンクに入れられます。タンクの中は真っ黒に塗られていて酸化を防ぐた
めオイルを入れた後で二酸化窒素を充填します。これで光や空気に触れること
を徹底的に防ぐことで酸化を防げるのです。
エクストラバージンとよばれる、オイルに全く手を加えていない最高ランクでは、
酸度は2%までと決まっています。バルデラマは常時1%の酸度で、最高値は
0.8%を記録したこともあるそうです。保存用のタンクのオイルは毎日一定の
時間にチェックをされています。そして注文が入ったら瓶などに詰めて出荷する
のです。何度見てもすごいなと思うのは、この農園がハイテク管理をされている
こと、小さいけれどラボがあり、品質のデーターを自社で出せることです。農園の
8カ所に土壌の変化や水分量を計ることができる機器が埋められていて、それ
により水分の補給などに自動的に行えます。
初めてオーナーのイグナシオや責任者のミゲルに会った時は、年配なので「伝
統」とか「歴史」を重んじる会社かと思っていました。が、彼らはハイテク大好き、
iPhone やipadを駆使して業者向けのプレゼンをしたり、お得意様用の食堂
では真空調理の真似事までこなしています。すでに6、7年前にはこんなことを
していました。農場での収穫から瓶づめなどを行う工場の中まで見学し、4種類
のオイルの試飲をしましたが、その味わいの違いは、一目瞭然。こんなにも違う
ものなのかといつも驚かされます。
最後にお待ちかねの試食会。メニューは全てオリーブオイルを使っています。
トマトとスペインのレタス、コゴジョにオイルをかけたもの。ナス、ズッキーニや
人参を棒状に切って天ぷらに揚げたもの。実は、日本製の天ぷら粉を使って
います。メインは地元の野菜や白インゲン、豚肉と鶏肉を使ったパエジャです。
お肉を使ったパエジャには「サフランを使わずピメントンと呼ばれるパプリカの
粉を使う」ので、こんな色なのですね。まさに山のパエジャという感じで美味し
かったです。デザートはパイナップルとマンゴーをオリーブオイルでマリネした
もの。ここでもオリーブオイル!と思いますがまろやかで甘さが増すようです。
全ての料理にオリーブオイルがふんだんに使われているのに重く感じられな
いのは、私だけではなかったようで、参加者全員がびっくりしていました。
地元のワインを飲みながらみんなで楽しく食事をして散々おしゃべりしたミゲル
と工場の管理者ペペは、この時期は週末もなく見学のアテンドと商談に明け
暮れるそうです。お疲れ様! 皆さんが迎えのバスで帰られたのを見送った後、
トレドの街に配達があるというミゲルに付き合ってからマドリードに着いたのは、
もう夕食の時間でした。収穫時期もそうでない時期にも何度か日本からの
お客様や日本人のお客様をアテンドしていますが、いつかReikoさんのことも
ご案内させてくださいね。
Miya